<高校野球>大宮北の新たな挑戦:基礎を徹底し、甲子園を目指す
大宮北高校野球部が基礎を徹底し、埼玉大会での活躍と甲子園出場を目指すストーリー。

梅雨の寒い雨が降り続く6月14日、大宮北高校の野球部員たちは県内の高校との練習試合で調整の大詰めを迎えていました。春季大会では地区予選から勝ち上がり、60年ぶりに8強入りを果たした彼らは、試合後もグラウンドに残り、雨音を消すほどの快音を響かせました。
期待の世代
エースの伊藤実遥、主将で4番の橋本海里、5番の茂木大輝、右腕の柏倉康佑の4人は、さいたま城北中時代に全日本軟式野球大会を経験し、中学時代から力を磨いてきました。高校入学時点で高い完成度を誇っていた彼らは、中学3年の夏に大宮北を志しました。同校は22年の埼玉大会で49年ぶりの16強入りを果たし、橋本は「小学生のときからずっと一緒にやる仲間。ここでなら文武両道を目指せると感じた」と語っています。
基礎の見直し
今春の躍進は秋季県大会の初戦敗退が転機となりました。打線は10安打を放つも打ち負け、守備では4失策を犯しました。これを受け、チームは基礎を見直し、体づくりに取り組みました。食事管理には外部指導者を迎え入れ、昨年11月から2月の冬季練習では1カ月のうち2週間を振り込み期間として1日千本のバットスイングを行いました。
成果の現れ
取り組みの成果は目に見える形で表れました。4番橋本のスイング速度は15キロ増し、117キロに上昇。5番茂木も20キロ上がり、それぞれが春季大会で長打力を示しました。茂木は「飛距離、打球の質、速さが変わった」と成長を実感しています。
ライバルの存在
よきライバルである浦和実の活躍も彼らを奮起させました。浦和実の選抜大会出場が確実視されていた11月、練習試合を実施し、結果は1点差で敗れました。それでも、エース伊藤は「よく戦う相手が甲子園で頑張った。自分たちでも手が届くのではないか」とチームが奮起しました。
甲子園を目指して
目標を甲子園と明言する選手はほとんどいませんが、佐々木秀一監督(50)は「相当前にあったベスト8の記録を塗り替えるのがこの代でも、不思議はない」と語っています。52年前の8強を塗り替え、切磋琢磨した仲間と共に、主役の座を射止めることを目指しています。