【インタビュー】オナイウ阿道が語る、フランスでの 4 年目と今後の目標

オナイウ阿道が、フランスでの 4 年目の心境や今後の目標について語ったインタビュー記事。

フランスで 4 年目のシーズンを戦っているオナイウ阿道 [写真]=Getty Images

フランスへ移籍して 4 年目、オセールでの 2 年目のシーズンを戦うオナイウ阿道。リーグ・ドゥ(2 部)のトゥールーズへ 2021 年夏に移籍し、加入初年度には 1 部昇格を経験したが、2 年目はシーズン 2 得点に終わる。昨シーズンは再びリーグ・ドゥへ。オセールに活躍の場を求めると、シーズン 15 得点を挙げてチームの昇格に貢献。今シーズンは再度リーグ・アンへの挑戦をしている。そのオナイウに現在の心境などを聞いた。

インタビュー=小松春生 協力=リーグ・アン、オセール

今シーズン、リーグ戦では第 23 節終了時点で 21 試合に出場している一方で、先発は 5 試合です。現状をどうとらえていますか?

前半戦はうまくいった部分もありましたが、ここ何試合か続いている状況と同じように、もっと勝ち点が取れたとも感じます。今シーズンの課題として、ホームではしっかり勝てている分、アウェーで勝ち点をこぼしてしまうことが多く、チームとしてしっかり勝ち切る、勝ち点を取ることが必要だと思います。個人としては、スタメンではなかなかチャンスがなく、すごくもどかしい気持ちもありますが、なぜ試合に出られないかと考えたら、最終的には自分が足りていないということがすべてで。言い訳をしたくなるシーンがあっても、そうならずに、自分に矢印を向けてやるしかないと思っています。

課題は直接的な数字でしょうか?(21 試合 2 得点)

もちろんフォワードの選手として、得点が一番シンプルで明確な評価ポイントですし、求められるところです。ただ、出場タイミングや、自分たちが守備に回る時間が多く、守備に負荷がかかるような試合での出場が多いので、なかなか得点チャンスが生まれるようなシーンにいられることがないまま、出場試合数だけ積み重なっていると思っています。一方でチャンスが全くないわけではないですし、出場できていない選手もいる中で自分は出ているわけで、そこは言い訳にはなりません。

お話しいただいたように、試合には絡めている一方で、個人ではセカンドトップや左右のウイングというように、いくつかのポジションで起用されたり、チームとしても 3 バック、4 バックと形を変える中で、その試合に入る難しさもあると思います。その中でもポジティブにとらえている部分はいかがでしょうか?

監督からどこで起用しても、計算でき、考えを実行してくれる選手と思ってもらえていることは、いい面だと思います。一方でペナルティエリアの中で仕事をするのが、自分の仕事だとも思っています。もちろんシチュエーションに応じて、求められているポジションでやらないといけないことはあります。かといって、自分がそういうキャラクターではないとも自分ではわかっているので、うまく要求も受け入れながら、まず求められていることをやってワンチャンス、ですね。今までの試合もチャンスがなかったわけではないですし、決めきれていれば、そういった面での評価も上がったと思います。結局は結果で。残り 10 分でも結果を残さない限りは考えを変えていく方法はないので、“徳を積む”ではないですけど、まずは言われたことをしっかりとやり、それがゴールにつながれば、自分自身もいいリズムができますし、やっていたことへの意味も感じられると思うので。そこを続けつつ、自分の特徴、良さは忘れないようにやらないといけないと思っています。

海外で戦う中で求められる役割を客観視しながら自己表現をするようになっていったということでしょうか?

自分はストライカーという意識で日本ではやっていましたし、今もそのつもりです。でも、現実的にはストライカーとしての起用ではないことも多い。チームの攻撃の形、フォーメーション、自分に求められていることがあり、他の選手ももちろん頑張っているわけですから、自分の中で消化できない部分もありますけど、割り切るしかないと思います。それでも時折「なんで俺こんなことしているんだろう」と思うときもあります。でも、難しく考え込んでしまうと、いいパフォーマンスにはなりません。だから周りどうこう、ポジションどうこう関係なく、自分のやることをやらなければいけないという感じです。

リーグ・アン、リーグ・ドゥで戦ってきた中で、フランスのリーグはどのように感じていますか?

5 大リーグと言われる中、フランスは他のリーグより評価が高くないという見られ方をされていたりしますが、僕が他のリーグでプレーしたことがないこともありつつ、個人的にはインテンシティ、強度がすごく高いと思いますし、名前の知らないような選手でもすごく能力が高く、うまい選手もたくさんいます。戦術的なリーグではないとは思いますが、個人能力はすごく高いリーグです。日本人選手も何選手かいて、移籍先の選択肢にリーグ・アンが入ってきたことで、ステップアップとして選ばれる先になっているとは感じていますし、日本人選手と対戦できることも僕個人としてはうれしいですね。

フランスに来て 4 年目ですが、ご家族との生活はいかがでしょうか?

僕はこっちの方が過ごしやすいと思いますし、子どもたちや妻もそうです。トゥールーズはスペインに近く、暖かい場所の雰囲気があり、街は大きくないですが、施設やレストラン含めて、いろいろなものを楽しめる街だと思います。オセールはパリまで車で 2 時間ちょっとくらいなので、街に何かがあるわけではないですが、日本に帰るときも楽ですし、子どもたちと生活するにはゆっくりしていて静かなのでいいかなと思います。子どもたちはフランスでの生活の方が長くなりましたし、現地の学校に通っているので、フランス語も僕より上手ですからね。こちらでできた友達と遊びにもよく行っています。

国外での生活でもありますし、支えられている部分も多々あると思います。

子どもたちの姿を見て頑張っていると感じますし、僕も負けられないなと、いろいろな面でいつも刺激を受けています。妻も日本でしか生活していませんでしたから、こちらで生活するのは初めてで。そんな中で彼女ができる最大のことを常にやってくれていると思います。練習から帰ると家族がいると気持ちも落ち着きますし、サッカーがうまくいってない時や自分がうまくコントロールできない時に落ち着ける場所があることは、すごくありがたいことだといつも思っています。

日本代表については 2021 年 10 月の招集が最後です。代表チームはどうとらえていますか?

僕がフランスに来た当時と比べると、メンバーも変わっていますし、サッカー自体も選手個人の所属クラブも変わってきていると思います。正直、僕が代表に選ばれるのかと客観的に見たら、「はい」と言えるような状況ではないと思っています。他の選手の方が結果を残していますし、僕自身もまず試合に出て、得点をし続けていないと選ばれないと思っています。今の代表はちょっと前のレベルとはまた違うレベルにいます。一人ひとりのレベルもそうですし、戦術的な部分もそうです。アジアの戦いも簡単でないとは思っていますけど、これまでの最終予選で苦戦していた感じが見えないくらい、今は実力があると思います。じゃあ、いざそこに自分が入った時に何かできるのかと言われたら、「はい、できます」と 100%で答えられる自信は、今はない。そう言えるようなパフォーマンスができないと、入れないので。今は謙虚に、自分に足りないものを補えるものがあるかもしれないですし、自分のいいところを伸ばし続けないといけないと思います。

現在の目標とここからのキャリアプランを聞かせてください。

もちろんヨーロッパでプレーして、高いレベルでプレーできることが一番いいと思いますし、僕自身も望んでいます。まずはそれができるように結果を残さないといけません。一方で、もちろん年齢もありますし、サッカーのキャリアが終わった後のことも考えると、いろいろなこと考えなければいけない年齢とも思っています。まずは悔いがないよう、今シーズンが終わった時に「こうしていればよかった」とならないようにやることが一番近い未来の目標なので、そこに向けて、今やれることを 100%やって、結果を残さないといけないと思っています。

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